2018年9月19日水曜日

2018年秋・北海道の詩の旅の記録・前編

というわけで、週末は北海道に行ってまいりました。

たとえば東京から飛行機に乗ってパリあたりを目指しますと、映画を一本観終わると飛行機はロシア上空、もう一本観るとやはりロシア上空、三本見てもまだロシア、などという現象が起きます。これを私は「ネバーエンディング・ロシア」と呼んでいるのですが、それに比べて北海道はぐうっと近く、羽田から一時間少々居眠りをこき、「そろそろ機内食が出る時間ですな(註・もちろん出ません)」などと思えてきた頃には釧路に到着なのでございます。

2018年9月15日土曜日、快晴の釧路空港。

空路は近く感じても、降り立つとそこはやはり北海道。空が広く、地面も広く、心なしか自分も開かれた人間になったような気がいたします。ゲートの前で法衣姿で待ち構えていたのは、釧路の僧侶詩人・たそがれ龍生。思わず私も合掌してしまいました。

たそがれ龍生のSUVで、ライヴ会場のカフェドルチェへ向かいます。車内ではジャニス・ジョプリンが流れ、奥行きのある景色とあいまって、なんだか北米に来たような感じです。積もる話も尽きぬままにカフェドルチェに到着。


カフェドルチェは、「ああ、風が抜けているなあ」と感じる、気持ちのいい素敵なカフェでした。

夕方の光のなかでたそがれ龍生とライヴをした時間は、特別なものになりました。地元で活動するということは、ある意味では東京で活動するよりもずっと、その人間の真価が問われることだと思います。ひとりひとりのお客様のたたずまい、場の空気、何よりも彼自身のパフォーマンス。たそがれ龍生が故郷で、これまで誠をもって生きてきたことがはっきりわかるイベントでした。彼という男に出会った私は幸せです。

私が朗読したのは、

「うなぎ」
「京都物産展」
「蟹工場」
「蟹野球」(新作)
「タコとイカ」
「二人で一緒に電車に乗ろう」

の6篇でした。

ありがたいことに持っていった本もみんな売れ、昔、池袋でPoe-Triをやっていた頃のお客様とも再会することができ、大変に温かい時間を過ごさせて頂きました。北海道に来て本当に良かったと思いました。

夜はたそがれ龍生と詩のこと、来し方行く末について語り合いました。その内容は二人だけの秘密です。でも、必ずまた釧路に戻ってこようと思います。こんな私を王子様のようにもてなしてくれたたそがれ龍生、そして釧路の皆様、改めて本当にありがとうございました。言葉に尽きせぬ感謝を。

そして翌16日は札幌に向かったのであります。



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