2017年7月31日月曜日

怒涛の二日間

7月29日の朝、ドイツのポエトリースラマー、Klaus Urban夫妻をホテルに迎えに行く。

Klausはサンタクロースのような感じの穏やかで落ち着いた人で、年齢は60歳ぐらいに見えたが、なんとびっくり73歳だという。奥様のVerenaさんもチャーミングな方だ。

今回の旅行で色んな国を回っているらしく、日本に来る前はニュージーランドやオーストラリアにいたらしい。現地のスラムで入賞してしまい、12月の決勝大会に出なきゃいけないのだが一体どうしよう、なんて笑っておられた。

まずは東京案内をさせて頂くことになっていたのだが、いくつかの場所を提示した中でKlaus夫妻が選んだのは上野。国立博物館(Klausは70歳以上なので、タダ!)では様々な展示を食い入るように眺め、どんどん質問してくる。シャープで知的好奇心が旺盛だ。それに元気であるが、真冬のオーストラリアから暑い東京への移動はやはり少しはこたえているらしい。一緒に食事をした後、夜のPoetry Laboの前にいったんシャワーを浴びたりしたいということで、またホテルまで送る。Poetry Laboの会場の西荻窪にはタクシーで行くということで、Aloho Loco Cafeの住所を書いたメモを渡す。

私は先に西荻窪に移動。この頃に大雨が降り始める。Klausに「雨が降るだろうか」と尋ねられ、「あー大丈夫大丈夫、多分降らないから」とテキトーに言ってしまったことを思い出して少し申し訳なく思う。こうやって国際的に信用をなくしていくのかもしれない。

この日のPoetry Laboには、やはり滞日中で、8月7日はSPIRITに出演してもらうことになっているデンマークのポエトリースラム王者Emil Nygardとその友人Robinも来ることになっていた。17時に西荻窪駅で待ち合わせ予定だったのだが、なかなか現れない。こちらには事前に、自分で言うのも何だが懇切丁寧な地下鉄の乗換案内を送っていたはずだ。どうしたかなと思っていると二本ばかり遅い電車で現れた。なんだか興奮しながら「タケオ!今日俺たちに起こったことを話してもあなたきっと信じないよ」とまくしたてる。なんと電車の中で出会ったおばさんになぜか荻窪の教会に連れて行かれていかれるという奇妙な事件のせいで遅れたらしい。大笑いしてしまったが、旅をしているとこういう変てこなアクシデントはたまに起こるものだ。私は昨年末にイスラエルのスラムに出た時、ホームステイ先でシャワーを浴びていたら浴室のドアノブが外れて閉じ込められ、30分もかけて櫛と爪楊枝で鍵をこじ開けて脱出するはめになった。

友人Robinに「君も詩人なの?」と聞くと、そうではなくてEmilの幼馴染で、いつも一緒に旅をしている仲だという。西荻窪の狭い通りを歩いていると、「ここは観光客もいないし、普通の人が普通の生活をしているっていう感じがしてとても好きだなあ」なんて言う。風景が少し新鮮に感じる。開演時間が迫る頃、Klaus夫妻も到着。

Klaus夫妻のパフォーマンスはさすがの重みと技術とオーラがあり、ずっしりみっしりとしていた。彼の詩を一篇翻訳させてもらい、会場でもテキストを配ったが、人生で詩の翻訳なんてするのは初めてで、とても新鮮でいい経験になった。もっとも、おなじみのジョーダン・スミスさんに監修して頂けなかったらもっと怪しげな訳になっていたはずだ。感謝。

夜中の1時に帰宅し、2時就寝。30日は5時過ぎに起きて、今度は私が稽古している日本空手道常心門の全国大会の係員任務。一日中「赤、○○選手・・・」とか「ただいまの得点・・・」などとコールして過ごす。大会にかける選手の心と、大会を運営する側が注ぐエネルギー、そして今回の大会に込められた意味というものを思えば、そこには言葉にできない様々なものが息づいており、あっという間に時間が経っていく。

猛烈な眠気が押し寄せてきたのは夜、帰宅した後だった。泥のように眠り、目覚めるとKlausから長文の丁寧なメールが届いていた。人の縁というのはいいものだなと思った。

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詩と旅