今回のゲストは猫道一家の猫道さんでした。
2009年の1月に高田馬場のベンズカフェで出会い、6月に私が池袋3-tri-でやっていた『Poe-Tri』にお客で来てくれて、7月に私の方が『猫道節』にブッキングしてもらい、それが縁で不可思議/wonderboyが作成中だったスポークンワーズ・コンピレーションCD『言葉がなければ可能性はない』に参加、11月がリリースパーティーでした。それから10年近くが経ちました。
その間、いろんなところで同じステージに立ってきました。実は二人きりで食事をしたことさえなく、基本的にはステージとその近くでしか顔を合わせない間柄です。ですが、終始一貫、彼に対する信頼の気持ちは揺れたことがありません。ポエトリースラムジャパンでも、猫道が司会だということだけで、余計な力を使わなくても袖からマイクの前にスッと出ていけるような安心感がありました。
その猫道さんは、半年間ライヴをしていなかったとは思えない、グッドコンディションかついい意味で力の抜けたアクトを披露してくださいました。笑いのうちにブルースがゆるやかに駆け抜ける、これまでにない新しい猫道節を感じました。ふと我が身を振り返ると、ポエトリーリーディングを始めてから10年と少し、ステージとステージの間が1ヶ月以上開いたことは一度もありませんでした。久しぶりのライヴってどんな気持ちなんだろうな、とちょっと思いました。
人間、ついつい自分に甘く他人に厳しくなりがちなものですが、その実、非常に多くの縁に囲まれて生かされているに過ぎない存在です。当たり前のようにやっていることでも、だいたいのことは本当は当たり前なんかではありません。人のすることというのは、100か0かではなく、その間を行ったり来たりしながら少しずつ進むようなことが多いと思います。0でさえなければ、そこには必ず救いがあります。色々な景色が訪れる中、受けたりよけたり尻餅をついたりしながら、今後もゆるゆる歩けたら。16色のグラデーションのような16人のオープンマイカーの皆様をキャッシャーから観ながら、そんな気持ちになっていました。
おめでたい発表もあった夜でした。おめでたい発表って、いいものですね。大好きです。ましてや身近な人間のものは。
私の写真も、いつの間にか撮って頂いていました。
道山れいんさん撮影
ありがとうございます。
誰しも、強者である面と弱者である面があります。
人前で言葉を発するという立場にある時に限っては、それはおよそ既に強者としての立場にあると私は思っています。マイクを手にして好きなことを言っていいというのは、バットや包丁を持っているのと同じか、それ以上のことです。何のためにそれを手にするのか。それを手にしてどうするのか。問いは尽きません。ゆるゆると、でもラクをせずに進みます。
ではまた、近いうちに。
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