野外で遭遇した虫の写真を撮る時、いつも心に留めていることがある。それは、「ほとんどの場合、二度と再びこの同じ虫に出会うことはない」ということだ。
虫の命は短い。
あるものは羽化してから一週間か十日で死ぬ。また寿命の長い種でも、成虫になってから二年、三年と生きるものはとても少ない。
そのわずかな日々の中で、私は彼らと出会う。ある時は調査の途中で、ある時は自然教室や観察会の中で、ある時はただの通りすがりに。
私のカメラに、あるいはUSBメモリに保存されている、この10年ほどの間に私が撮影した虫たちは、おそらく99パーセントまでがもはやこの世のものではない。程度の差こそあれ、虫だけでなく、両生類も爬虫類も鳥類も哺乳類も、その他の様々な動物たちも、それは同じことだ。
今日の午後に遭遇した光景。交尾するミヤマクワガタと、その真上に座っているシュレーゲルアオガエル。彼らともきっと、もう二度と出会うことない。
今、彼らは何をしているのだろう。
明日、彼らはどこにいるのだろう。
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