前回の日記がカナダのモントリオールより現地時間の4月26日午後11時。何があったか全部書いているとすぐ300ページくらいになりそうなのでそれは何か別の媒体でやることにして(誰か原稿書かせてくださいっ)、かいつまんで駆け足で振り返ります。
一夜明けて、天気もいいので街に散歩に出かけました。ケベック州ですから、看板などは全てフランス語。聴こえてくる会話、話しかけてくる人もみんなフランス語です。
街中にはたくさんのリスがいます。トウブハイイロリスです。中には白い個体も。
ハシボソキツツキなんかもいました。
今回はかなりスケジュールがタイトかつ、打ち合わせやリハが緻密です。あまり生き物に夢中になっていると遅れてしまいそうなので、ほどほどにして会場のMaison de la Culture Maisonneuveへ。
消防署をリノベしたものたそうです。中はどどーんと広く、1000人くらいは余裕で入りそうです。
今回の『Richesse des langues』、一日目がスラム、二日目がライヴショーです。
スラムは、各国から招聘された詩人と地元詩人がそれぞれタッグを組んでの団体戦です。私のパートナーはJacquesさん65歳。43歳の私と合わせてチーム108歳でのぞみます。
今回のスラムは、ちょっと変わったルールです。各国詩人と地元詩人が組んで白、赤、黒、青の四チームのタッグチーム を結成し、先鋒と次鋒を決めて、先鋒、次鋒それぞれで総当たりリーグ戦を行うという形式です。勝敗は点数ではなく、詩のボクシングの観客投票のようなというか紅白歌合戦のようなというか、観客全員がどちらかのチームの色のボードを掲げる方式です。見た目に差がはっきりしない時は「引き分け」になります。これはなかなかゲーム性が高く、面白いものです。
お客様は年齢層も幅広く、おじいさん、おばあさん、というような年齢の人たちも多いのはヨーロッパでのスラムと共通。ただ、その空気にはこれまでどこの都市でも感じたことのない不思議なおおらかさがあり、スラマーたちもみんな気合は入りつつも楽しそうです。
我々白チームこと『チーム108歳』、ものすごい僅差で優勝は逃しましたが、個人的にも得るものが非常に多いスラムでした。ありがとうJacquesさん!優勝はチェコのAnatolのチーム。このAnatolは面白い奴で、一緒にいると笑ってばかりいました。
私は『うなぎ』『ハムを買ってください』『蟹倉庫』の3篇を朗読したのですが、終演後、ベトナム人の若い女性が来て、
「私はこの街で移民や難民にフランス語を教える仕事をしている。あなたのハムと蟹の詩は、彼らが直面している状況そのものだ。特にハムの詩で、売れないとわかっているハムをそれでも必死で売ろうとするあの姿は、故国を離れた多くのベトナム人の姿を髣髴させる」
という感想を述べてくださいました。その他にもたくさんの人が次から次へと話しに来ます。これが海外のスラムの一つの醍醐味でもあります。
出演者・スタッフみんなで会場近くのあやしいバーで打ち上げをし、なぜか最後はみんなでマシュマロを焼いて食べ、宿へ戻ったのは午前2時でした。
そうして翌28日に続くのであります。
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