2017年10月29日日曜日

朋あり遠方より来る

26日、11月4日のポエトリースラムジャパン全国大会、そして6日のSPIRITにゲスト出演するフランスの詩人・JYBを成田空港に迎えに行く。JYBはそのまま我が家に3泊し、今日から都内のホテルに滞在している。

2015年、ベルギーのモンスでのSLAMons&Friends2015、そして2016年、パリでのポエトリースラムW杯でステージを共にしたJYBだが、モンスやパリではどちらかと言うとあまり喋っておらず、その底響きのするいい声と、W杯の決勝終了後に彼が持っていたラムをみんなで回し飲みしたのが印象に残っているくらいだ。今回、JYBの方から日本でパフォーマンスしたいという話をもらい、それから諸々進んで来日の運びとなった。

いかつい体をしたJYBだが、一緒に時間を過ごしてみると、非常に純粋で繊細で優しい人である。私と同い年ぐらいかと思っていたら、なんと55歳だという(上の息子さんは30を過ぎているとのこと)。父親はグアダルーペ島出身、母親はマダガスカルの出で、本人はニューカレドニアで生まれたという、それだけでも伝奇性に満ちた来歴を持っているが、これまで歩んできた道のりを聞いてみると、当然のようにうわべだけでない重層的で深度のある人生を歩んでおり、それは行動や仕草の端々にも窺える。夏にデンマークのエミールたちがやってきた時は、彼らの英語が上手いこともありほぼ完全なコミュニケーションが成立したが、JYBは英語があまり話せず、私はフランス語が全然駄目なので、会話は双方の口数が多い割に意思疎通に時間がかかったりして、私も地元にいながら海外遠征をしている気分が味わえて楽しい。


千葉の農村から台風の接近する新宿まで、いろんなところを一緒に動き回った。辛いものも甘いものも好きな、誰に対してもオープンで明るいJYB。来月、彼のパフォーマンスを日本で見るのが待ち遠しい。

でももちろん、一番待ち遠しいのは、自分自身がステージの上でパフォーマンスすることだ。ステージの上にあるのは、世界で一番自由で不自由で幸せな時間だ。11月4日のポエトリースラムジャパン全国大会と6日のポエトリーリーディングオープンマイクSPIRIT。是非おいで下さい。

あなたと、詩を。

☆☆☆

「ポエトリー・スラム・ジャパン2017秋 全国大会」

2017年11月4日(土)・月島 月島社会教育会館ホール

11時30分開場/12時開演・入場料2000円

▽MC
猫道

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「SPIRIT」

2017年11月6日(月)・渋谷 RUBY ROOM

19時30分開場/20時開演・入場料2000円(2ドリンク付)

▽主催・出演
大島健夫/URAOCB

▽スペシャルゲスト
JYB

◎オープンマイクは当日先着16名まで。1名あたり制限時間5分。




2017年10月24日火曜日

旅は無限に続く

昨日は投票を済ませたあと、六本木でカザン共和国の詩人と蕎麦を食べ、一緒に山種美術館で日本画を観、夜はやはりで「桑原滝弥×イシダユーリpresents tamatogi ~秋の詩のオープンマイク祭り~」にゲスト出演。と書くと簡単だが、何しろ大型台風接近中の折なので、何をするにもいちいちけっこう濡れていたのであった。

詩というもののいいところのひとつは、いろんな「引っかかり」を受け手に与えることだと思う。それは単純な違和感であったり、様々な種類の驚きであったり、不快感であったり、感動であったり、時には魂に撃ち込まれるような衝撃であったりする。詩というメディアを通してしか人間が感じられないものはやはりあって、昨夜のtamatogiにはたくさんのそうした「引っかかり」があった。台風でいらっしゃれなかった方も多いと思うが、その台風の夜だからこそもたらされた何かもまた確実に存在していた。素敵な詩の夜だった。

私は「さかな」を朗読した。

(撮影・川方祥大)

今回はオープンマイク参加者の中からゲスト出演者が選ぶ「tamatogi賞」というものがあり、私は藤井コウさんを選ばせて頂いた。ゆっくりと書かれたものにしか現れない味わいと魅力と静かな強さがあるテキストがとても好きだった。

お客様、競演者、主催者、スタッフの皆様、会場の六本木新世界、天気、そして二度と戻らないこの日この夜に感謝。

☆☆☆

そして、21日の夜にポエトリースラムジャパンのFacebookページにこんな文章が載り、驚かれた方も多いと思う。

【重要なお知らせ】
ポエトリースラムW杯の出場権について、重要なご報告です。

ポエトリースラムジャパンではこれまで「全国大会優勝者1名が、パリでのポエトリースラムW杯に出場する」ということをご案内してきました。

ところが今回、全国大会開催にあたりパリW杯本部とやり取りをするなかで、先方が「W杯に一度出場した人は、再び出場することができない」という主旨の返事をしてきました。

「国内大会優勝者がW杯経験者なら第2位を、第2位もW杯経験者なら3位の人を招聘する」とのこと。

これは、これまでW杯側からの提示がなかったことなので非常に困惑し、また関係各位に大変申し訳ない思いでいます。

現実的なこととして現在、2017年秋大会のファイナリストに、W杯経験者が2名いらっしゃいます。結論から言いますと、今大会でこの2名のどちらかが優勝した場合、パリW杯に代わる特典を用意いたします。残念ながら今の段階では具体的にお伝えできないのですが、早急に検討していきます。

そして、この2名のうちどちらかが優勝(もしくはおふたりが優勝と準優勝)という結果になった場合、2位(もしくは3位)の方にW杯出場権が移る、ということにいたします。

大会直前のこの時期に、W杯出場権という重大な取り決めを変更することになってしまい、本当に恐縮です。

もう少し、詳しくお伝えしますと
W杯主宰の説明によれば「2度目の出場不可」という方針は、ルールブックのような形で明言されているものではないとのこと。

ただし「例えば去年、スペインの選手が国内大会で2年連続優勝したが、2回目の時は次点の人に出場依頼した。他の国にも同じルールを適用している」という回答でした。また、その年の国内優勝者がW杯初出場だとしても、その人が何らかの事情でW杯に来れない場合は2位や3位が招聘されることもあるようです。

そして、その理由として「それぞれの国の(詩の)コミュニティは常に成長しているのであって、W杯には毎年新しい詩人に参加してもらいたい。それがW杯のコンセプトだ」との説明もありました。何度かのメールのやり取りでも、先方の主張は変わりませんでした。

ただ、W杯の趣旨がどうあれ、少なくとも今回のPSJではW杯出場を優勝特典のような扱いとしてきましたので、それが叶わないとなれば代替案を考えます。

また、次年度以降どうするかは、別途あらためて検討いたします。

長くなりましたが、全国大会に関わる重要な案件として、まずはお知らせいたしました。突然のご連絡になり大変申し訳ありません。
どうかご理解いただけますよう、お願い申し上げます。

ポエトリースラムジャパン代表 村田活彦

この件について、私はその前の夜に村田代表から連絡を頂いていた。この文中のW杯経験者というのは、とりもなおさず私と中内こもるさんなのである。

もちろん私もびっくりした。何しろ昨年のパリのW杯でも、そんな話は誰からも一言も聞いたことがなかったし、各国のスラマーと「またここで会おうね」と言い交し、複数の運営関係者から「必ずまた出場してね」などと言われているのである。彼ら、彼女らも知らなかったのだろう。文中のスペイン代表の件というのも、今日になって別の筋から話を聞いたところ、どうやらその時は色々あったらしい。

ただ、同時に、「ありそうな話だな」とも思った。W杯の主宰というのはピロットさんという、アラン・プロストに空気を少し入れたような雰囲気の人だが、多分、こんな大事なことにもかかわらず、今まで聞かれなかったから言わなかっただけなのだと思う。日本ではそんなことはあり得ないとか、社会では通用しないとかここで言っても何の益もない。これが彼ら式の物事のすすめ方だということなのだ。実際、運営側が突然物事を改変したり、誰も聞いていなかったことが不意に明らかになったりして、出場スラマーが「えー!?」となるところを私もパリで何回か見ている。そしてもっと言うと、私が今までに出場したり参加したりした海外のポストリースラムや詩祭で、ほぼ完全に運営を信頼して安心して行動できたのは、私にとって初めての国際ポエトリースラムだった、ベルギーのモンスでの「SLAMons&Friends」だけで、他は大なり小なり様々な突発的事象が出来した。ただ、だからと言ってそれらの主催者筋が悪人だったり嫌な奴だったかというとそんなことはなく、みなそれぞれにいい人たちで、しかも熱心だった。今回も話を聞いた時、私は、「ああ、ピロットさんだったらそういこともあるだろうな」とごく自然に思ったのだ。

個人的には、ピロットさんにはずいぶん親切にしてもらった。カリブラージュに三回も起用されたし、そのうち一回は、W杯の決勝が終ったあと、入れ替わりに同じ会場で行われるフランスの国内スラム決勝戦前のカリブラージュだった。人生で一回しかそこには立てないということをピロットさんはもちろん知っていたわけだから、準決勝敗退者の中からわざわざ私を選んでそのステージでパフォーマンスさせてくれたということは、今になって思えば意味深いものがある。もうあの雰囲気は味わえないんだなあ、と思うと、全ての瞬間の思い出は光り輝いて感じられるのである。私は全力を尽くしたから、悔いるところは何もない。ポエトリースラムW杯というのは甲子園みたいなものだったのかもしれない。

しかし、しかしである。やっぱり後味の悪さはある。だって、「優勝者をパリのW杯に送り込むのが目的の大会」に、そもそもその資格が最初からないにもかかわらず、そのことを知らずに、2017春、2017秋と二度も出場してしまったのである。私は次は必ずW杯で優勝するつもりでいて、今回は東京大会Cで優勝した。中内さんは中内さんで名古屋大会で優勝した。勝ったってW杯には出ない人間が二人も全国大会にいる。私に関して言えば、当たり前だが本当のことを知っていれば出なかった。その資格がある人を後ろから応援する側に回っていた。二回以上は出られないなんて知らないから、自分がもう一度行って優勝することが良いことだと思ったのだ。だが現実には・・・。ピロットさんが、村田さんにでも岡野さんにでも私にでも中内さんにでも、最初から「実は一度しか出られないんだ」ということを告げていれば何の問題もなかったはずなのだが・・・

W杯というが、そう称してはいても、現地で見ているとピロットさんとその周辺の人々が切り盛りしている印象が強く、いわば個人商店という感じがある。そういう点では、たくさんある国際ポエトリースラムの中のひとつであり、毎年開催、かつ安定して多くの国の詩人を招聘しているというところに特徴があるのだろう。だから、「W杯なのだからかくあらねばならない」という理想を我々が語るのは筋違いなのかもしれない。そして、その国際ポエトリースラムの中でも比較的大規模かつ安定して開催されているポエトリースラムW杯というスラムには、その不文法に基づいて二回以上は出場できない。ならば、私としてはその先を見据えなければならない。甲子園出場後も野球を続けていく道。日本のポエトリースラム文化は始まったばかりだから、その道は自分で切り拓いていかなければならないのだと思う。

複数の国から既に2018年に開催されるポエトリースラムへの招聘を頂いている。

中には外務省が国全体を「レベル4・退避勧告」に指定しているような国で開催されるものもあり、何が実現して何が実現しないのかはこれから次第に明らかになっていくだろうが、それらのオファーに共通しているのは、私が2016年のW杯に出場したことがその大きなきっかけの一つになっているという点だ。昨年秋のブリュッセル詩祭も、年末のイスラエルでのスラムも、W杯からの流れでオファーを貰ったものだった。反対に、今までの海外でのスラムでの人間関係から、様々な国のスラマーが来日する際には必ず連絡をくれるようになったし、出来る限り彼らのパフォーマンスの場所を提供するように力を尽くしている。ごく近い将来、日本で各国のトップスラマーを招聘しての国際ポエトリースラムフェスティバルを実現させたいし、4年に一度くらい、持ち回りで国を変えてポエトリースラム五輪ができたら、などと想像もする。でも一方では、そのようなことが実現して話題になったら、それは必然的にポピュリズム、コマーシャリズムと詩のせめぎ合いとなり、失われるものもまた多くなるだろう。ではどうするか。どうしたらいいのか。その答えは簡単なものではない。ポエトリースラムというのはぎりぎりのところで成立しているフォーマットで、どのようにその本質を伝えていくか、表現していくかということについては、多分これから関わってゆく限りずっと、全ての場面で自分の中で問い続けることになるだろう。

これからも常に、一瞬一瞬自分の中で問い続ける。どこまで行くか、どこへ行くかわからない。でも足を止めずに動き続ける。

11月4日のポエトリースラムジャパン全国大会には出場する。全力を尽くして戦う。PSJがW杯へと接続するための大会であり続けるなら、私にとってこれが最後のPSJになる。村田さんの文中にもあるように、PSJそれ自体も今後、そのあり方を自ら問い、また外からも問われ続けるだろう。問い、問われることも、また詩というものの魅力のひとつだと思う。

旅はこれから無限に続く。

2017年10月17日火曜日

雨朗読雨朗読、雨生物

15日(日)は千葉詩亭・第四十八回。雨が降っていた。どうもSPIRITの日、それから千葉詩亭の日は雨が多いように思われてならない。統計をとったら明らかに有意な数値が現れるのではなかろうか。台風や大雪ともよくバッティングする。きっと共通して行いの悪い人間がいるに違いない。そんな雨の中、今回もご来場ご参加、まことにありがとうございました。

ゲストは第21回中原中也賞受賞詩人、カニエ・ナハさん。

詩の投稿を初めてちょうど10年というカニエさん。一目見ただけでどれほど読み込んだかがはっきりわかる中原中也詩集からの朗読に始まり、実は過去、千葉に住んでいたという頃の過去作から丹念に一つずつ作品を紡ぎ、最後はコール・ポーターのジャズをバックに、静かな緊張感と迫力に満ちたリーディングを繰り広げる。雨の音、しっとりした空気も完全に我が物としていた。

そのカニエさんが作った空気に足を踏み入れるかのように、オープンマイク参加したのは、登場順に

川方祥大
ケイコ
佐々木漣
ジョーダン・スミス
藤原游
あしゅりん
さとう
森ジュンイチ
OOM
晴居彗星
遠藤ヒツジ
葉月之寛
死紺亭柳竹
上條美由紀

という14名の皆様(敬称略)。それぞれの詩の言葉の中に、はからずも生きていくことそのものに対する視線とスタンスが浮き上がる、とても印象的なオープンマイクだった。例によってオープニングは山口勲が、ラストは私が「タコとイカ」を朗読した。



次回の千葉詩亭・第四十九回は12月17日(日)、ついに八周年。皆様どうぞお楽しみに!

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明けて16日。また冷たい雨が降っていた。原因となっているのは一体誰なのか。内藤重人さんとのコラボでかずちゃん企画「謡 ~其の三十七~」に出演するため、午後から渋谷に向かう。内藤さんと軽く打ち合わせを済ませたあと、競演の死紺亭柳竹さんを駅まで迎えに行く。会場の喫茶SMiLEへと死紺亭さんを訳知り顔でエスコートしたが、途中で道を間違えた。

この日は遠藤ヒツジ、死紺亭柳竹、大島健夫with内藤重人の三組+オープンマイクという、ポエトリー色強めの構成。競演の遠藤ヒツジさんと死紺亭柳竹さんはどちらも硬派だった。ヒツジさんは出汁のしっかり効いた、それでいて余計な化学調味料の振られていない、かつ独自のラインの味をしっかり保つ料理のような朗読、死紺亭さんは30分間で自分という存在そのものを言葉に乗せて会場に、そしてそこに集った人の心に刻みつけるような朗読だった。私は前述の通り内藤さんとのコラボで30分ものの「夢を見たことがない」を朗読。内藤さんとのコラボは二回目になるが、内藤さんの音の力で自分の新しい面を引き出してもらう感覚が強く、非常に緊張感がありかつ充実した気持ちで声を出せる。新しい筋肉を使うような、新しいラインをトレースするような、そういう感触はとてもいい。これからも折々ステージを共にできればと思う。感謝。いい夜だった。

☆☆☆

明けて本日は千葉県生物多様性センター主催の研修会。冷たい雨が降っていた。寒いので帰ってから鍋をこしらえて食べた。

うまかった。

2017年10月14日土曜日

「千葉詩亭・第四十八回」、そして「謡(うたげ)~其の三十七」

さて、日曜、月曜とまたイベントが続く。まず15日(日)は千葉市中央区登戸のTREASURE RIVER BOOK CAFEで偶数月の第三日曜に恒例、山口勲と大島健夫で共同開催のポエトリーリーディングオープンマイク「千葉詩亭」の第四十八回。

今回のゲストは、第21回中原中也賞受賞詩人・カニエ・ナハさん。30分、どんなパフォーマンスをして頂けるのかとても楽しみ。当日、カニエさんと私が関係しているあるプロジェクトについて、ちらっと先行発表もさせて頂く予定。聴きたい人も自分で読みたい人もカニエさんに会いたい人も、どなたもお気軽においで下さい。ごはんもおいしいですよ。

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「千葉詩亭・第四十八回」

2017年10月15日(日)・千葉 TREASURE RIVER BOOK CAFE

17時30分開場/18時開演・入場料1000円(1ドリンク付)または2000円(1ドリンクとお食事付)

▽主催・出演
山口勲/大島健夫

▽スペシャルゲスト
カニエ・ナハ

◎オープンマイクは1名あたり制限時間5分。

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そして明けて16日(月)は、渋谷の喫茶SMiLEでかずちゃん企画・謡に出演。共演者は死紺亭柳竹、遠藤ヒツジというポエトリーリーディングな二人。私は久々に内藤重人さんとのコラボで舞台に立つ。30分、どんな詩をやるかはもう決まっている。最高の舞台になるように、二人で燃焼し尽くすつもりだ。オープンマイクもあります。

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「謡(うたげ)~其の三十七」

2017年10月16日(月)・渋谷 喫茶SMiLE

19時開場/19時30分開演・入場料1000円+1ドリンク

▽出演
大島健夫with内藤重人
死紺亭柳竹
遠藤ヒツジ

◎オープンマイク有

☆☆☆

前に書いた通り、今月は6本ある私の朗読ステージのうち3本以上ご来場頂いた方に粗品を贈呈する予定で、15日の千葉詩亭から該当のお客様が増えてきそうなのでその粗品をさきほどまで家内制手工業的に作製・生産していた。どうせ私のやることなので、あまり期待しないで待って頂ければ幸いである。ではでは、みなさんお会いできるのを楽しみに。

2017年10月11日水曜日

上野、三鷹、千葉。

10月7日はウエノ・ポエトリカン・ジャム5。上野公園へはわりとしょっちゅう来ているが、水上音楽堂に来たことは、実は一度もない。ウエノ・ポエトリカン・ジャムの1から4までも当然ながら出たことも見たこともない。4の時はもうポエトリーリーディングを始めていたが、当時は(まあ今もだが、どっちかと言うと今よりも)生意気だったので、誰が出ているのかとか背景は何なのかとか全然リサーチしようともせず「よくわかんねえけどどうせダセえ奴が大勢集まって文化祭ごっこみたいのをして自己満足してるだけだろ」と勝手に思っており、ほとんど興味もなく行かなかった。今にして思えば体験しておけばよかったと思う。何しろそんな私がその後、当時の関係者にインタビューしたり証言を収集したりするようになるのである。だから今回のUPJに関しても、行かずにいろんなことを思っていたり否定的なことを言っていたりした人は絶対いるはずだが、人間は人生の中で様々な立場や状況を経るものであるから、彼ら、彼女らにも今後の門戸が開かれていたらいいなと思うし、また口碑だけでなく記録のアーカイヴが残されたらいいなと思う。

今回、私は開演から終演までずっといた。観客席にいたり控室にいたりステージにいたり人を迎えに行ったりした中で、ダセえ奴ばかりが集まっているということはなかったということは確信を持って言える。もちろん、出演者とオープンマイカーを合わせると膨大な数の人がパフォーマンスしたのだから、観る人にはそれぞれの好みはあったに違いないけれど、全部観た人なら必ずそれぞれの、真実の瞬間のようなものに触れることができたのではないだろうか。それは幸せであったかもしれないし、嬉しさであったかもしれないし、笑いであったかもしれないし、あるいはことによるとまた怒りや悲しみややるせなさであったかもしれない。どれでもいいと思う。詩には様々な力がある。これは詩の祭りなのだから。

私は「神さまの人生」を朗読した。司会の猫道さんのアナウンスでステージに上がって、言葉を発する前に客席の一人ひとりの顔と表情を順番に眺めた時の感触はなかなか「いいもの」だった。

その猫道さん初め、主催者、そしてスタッフの奮闘に心から頭を下げる。こうしたイベントでは、大変なのはその日一日だけではなく、その前だったり、時には後だったりする。運営筋の人たちというのは、我々出演者のように、極端に言えばギャラをもらって帰ったらそれで終わり、というわけにはいかないのだ。

イベントが終ると、月がとても美しかった。

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10月9日は三鷹・おんがくのじかんの8周年記念イベントの9日目に出演。昨年のワンマンライヴでもお世話になっているおんがくのじかん。音響が最高ですごく読みやすい。呼んで頂いて感謝。「24時間スーパーの恋」と「こんな悲しい日に」を朗読。動画も撮った・・・はずだったが、途中で切れていた。残念。

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さて、次は10月15日(日)の「千葉詩亭・第四十八回」。

ゲストは第21回中原中也賞受賞詩人・カニエ・ナハさん。カニエさんとは、実はいま進行中のあるプロジェクトでも関わっており、当日そのことについて発表もする予定。聴きたい方、読みたい方、どなたも是非いらして下さい。

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「千葉詩亭・第四十八回」

2017年10月15日(日)・千葉 TREASURE RIVER BOOK CAFE

17時30分開場/18時開演・入場料1000円(1ドリンク付)または2000円(1ドリンクとお食事付)

▽主催・出演
山口勲/大島健夫

▽スペシャルゲスト
カニエ・ナハ

◎オープンマイクは1名あたり制限時間5分。









2017年10月3日火曜日

昨夜はSPIRIT、そして週末はウエノ・ポエトリカン・ジャム5

昨夜はポエトリーリーディングオープンマイクSPIRIT。なんだかSPIRITというのは雨の日が多いように思われてならない。統計をとったら明らかに東京の気象の平均に比べて優位な値が現れるような気もする。にもかかわらず毎回たくさんのご来場・ご参加、主宰としてはただただ頭を下げるばかりである。ゲストのGOKUさんの朗読は、強度とエモーション、そして言葉を発する自分自身とそれを受け止める聴衆の双方に対しての誠意が詰まった、魅力に溢れるものだった。オープンマイクも初参加の方がたくさんいらっしゃり、久しぶりの方、常連の方といいバランスを保っていたように思う。よく、色んなイベント主催の人が「若い人を大切に」とか「初めての人を大切に」と言う。あるいは「常連の人を大切に」とも言う。確かにとてもとても大切だと思う。しかし私にとっては、若くない人も大切だし初めて来た人も何回も来ている人も大切だ。お客さんは、「お客さん」という名のお金を持ってくるカタマリではなく、一人ひとりが一人ひとりの理由に基づいて、自分の時間とエネルギーを削ってこの日のこの場に来て下さる、血の通った生きた人間なのだ。そのことを絶対に忘れてはならないし、忘れたらSPIRITも終わりだろう。心から感謝。

次回SPIRITは11月6日(月)、ゲストは2016年のポエトリースラムW杯フランス代表・JYB。時あたかも11月4日のポエトリースラムジャパン全国大会の翌々日ということになる。海外のポエトリースラム王者をSPIRITのゲストに迎えるのは、オーストラリアのZohab、デンマークのEmilに続いて今回で三人目。ポエトリースラムジャパンのその先にあるものを、是非体験しに来て頂ければ幸いです。

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さて、次の朗読ステージは10月7日(土)、日本最大級の詩の朗読のお祭り、ウエノ・ポエトリカン・ジャム5。


ご覧の通りの豪華出演陣にオープンマイクもあります。しかも入場無料。声と言葉の一日を、是非味わいにいらして下さい。あとは晴天を祈りましょう!